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典具帖紙と修復の現場 その1

老けた紙面の補修

私どもがお届けしている中で最も薄い典具帖紙は、一平米あたり1.6グラム。わずか 0.02ミリの極薄紙です。これほど薄い紙を機械漉きできるのは当社だけの抄紙技術。 原料処理、機械の調整技術など、すべてのバランスがとれてこそなせる技です。このように繊細に漉かれた私どもの典具帖紙は、絵画や書物、仏像などの文化財修復をサポートする紙として国内だけでなく、ヨーロッパ、中東、アジアなど世界中で使われています。

適切な環境下で資料を保管しなかったために、紙が湿気を帯びてカビが生え、水分とカビの酵素によって紙の繊維が著しく脆弱化し、毛羽立つようになってしまうことがあります。こちらは、「老け」というこの劣化を典具帖紙で表から抑え、劣化のさらなる進行を防ぐ処置を行っているところです。表打ちを施しても、文字が鮮明に解読できるところが極薄・典具帖紙の最大の利点。手漉き和紙を表打ちに使用すると簀目や糸目が表面に感じられるほど目立つ場合がありますが、機械漉きはそのようなクセがなく、品質が安定しているという点で、修復にはより適していると考えられています。

 

典具帖紙と修復の現場 その2

劣化した革装幀の補修

大気中の酸性ガスの吸着と過乾燥により革の表面がひび割れ、赤茶けた粉の状態になってしまった革装幀。これに典具帖紙を表打ちすることで劣化の進行を抑えます。 薄さと強靱さはもちろん、しなやかで噴いつきの良い繊維という特徴を活かして、革装幀本の補修にもよく用いられています。その他、酸性劣化などで紙力が衰え、利用が困難な資料の裏打ちや表打ち、脆弱になった箇所の補填や破れの固定など、修復用途は幅広く、その薄さゆえ特に両面文書やカラー資料等の修復に重宝されています。100%植物繊維の典具帖紙が持つその強靭さは、1000年を超えてもなお変わらないと言われるほどです。

現在、世界各地の図書館.博物館には修復が待たれる重要文書や書物が山積しているといいます。私どもは、それらを歴史の証として後世に残していくためのお役に立ちたい一そんな思いで、日々手間を惜しむことなく和紙づくりに励んでおります。

 

典具帖紙と修復の現場 その3

表面彩色の剥落止め

木彫像の修復では、初めに本体部分の傷や汚れを修復し、色落ちやささくれの進行を遅らせるため典具帖紙を張り付け、筆などで彩色層を押さえ込みます。必要があれば、その上から補彩する場合もあります。彫刻の細かな曲面に沿って自由自在になじませるためには、薄く、透明感があり、丈夫な典具帖紙が最適です。典具帖紙をはじめとする楮紙は繊維が長く多孔質で柔軟なため、素材を問わず何にでもよく密着します。だからこそ、張り付けられた木彫像自体も柔軟な表情を保つことができるのです。

お客様の「未晒しに近い白い紙を」というニーズから新たに開発した“塩素未使用 漂白”は私どものオリジナル漂白技術です。塩素未使用に加え、丁寧な水洗いを繰り返すことで劣化の起因となる不純物を徹底的に除去。より保存性の高い修復用典具帖紙として、未晒しに近い弱アル力リ性の中性域を実現しました。今後も修復分野で世界の皆様のお役に立てるよう、さらなる技術向上をめざしていきます。

 

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→ 楮(こうぞ)和紙ができるまで