さらに安心できる和紙へ
〜PAT認証〜

PAT認証

“PAT認証”が開いた、和紙の新しい扉。

このたび、ひだか和紙有限会社の修復用和紙が、国際的な写真保存の安全基準である「PAT(写真活性度試験)」に和紙として世界で初めて合格いたしました。
和紙はこれまでも文化財や写真・フィルムの保存修復の現場で広く使われてきましたが、その安全性が科学的に認められたのは、今回が初めてとなります。
本ページでは、PAT認証取得の意義とその内容について、ご紹介いたします。

PAT認証とは

PAT(Photographic Activity Test/写真活性度試験)は、写真やフィルムなどの大切な資料を長期保存する際、「保管材が資料そのものに悪影響を与えないか」を科学的に検証する、国際的な安全評価試験です。
この試験は、保存修復の現場で使われる紙や封筒、箱などの材料が、写真やフィルムに化学的変化をもたらさないかを判断するための世界標準の基準として広く認知されています。
PATに合格した保存材は、「写真・フィルム保存に安心して使える」ことが客観的・科学的に証明された資材として、信頼を集めています。

なぜPAT認証が必要なのか

写真やフィルムは、紙や袋などの保管材に触れて長期間保存されることで、時に劣化や変色、化学的なダメージを受けることがあります。
伝統的な和紙も、保存修復の現場で高く評価されてきましたが、本当に安全かどうかは「感覚」や「経験」に頼らざるを得ない部分がありました。そこで求められるのが、科学的な安全性の裏付けです。
PAT認証は、保存材が資料に与える化学的影響を国際的な基準で評価し、“安心して使える”ことを客観的に証明するための試験です。
和紙がPAT認証に合格することで、伝統と実績に「科学的な確かさ」が加わり、これまで以上に信頼して写真やフィルムの保存にご使用いただけるようになりました。

PAT認証試験の概要

写真やフィルムは、紙や袋などの保管材に触れて長期間保存されることで、時に劣化や変色、化学的なダメージを受けることがあります。
伝統的な和紙も、保存修復の現場で高く評価されてきましたが、本当に安全かどうかは「感覚」や「経験」に頼らざるを得ない部分がありました。そこで求められるのが、科学的な安全性の裏付けです。
PAT認証は、保存材が資料に与える化学的影響を国際的な基準で評価し、“安心して使える”ことを客観的に証明するための試験です。
和紙がPAT認証に合格することで、伝統と実績に「科学的な確かさ」が加わり、これまで以上に信頼して写真やフィルムの保存にご使用いただけるようになりました。

PAT認証試験 1

使用する材料

 

画像退行ディテクター:
未感光の銀粒子をゼラチンに分散させてポリエステルフィルムに塗布した“コロイド銀シート”。
→ 保存材が写真画像に及ぼす影響を調べます。

 

汚染(ステイン)ディテクター:
現像を行わず定着・水洗・乾燥した黒白バライタ印画紙。
→ 汚染の有無を調べます。

 

試験片:
評価対象となる保存材(ひだか和紙など)。

 

基準濾紙:
不活性な材料で、コントロール(合否判定の基準)として使います。

 

PAT認証試験 2

試験方法

 

すべての材料を同じサイズに揃え、下記のような組み合わせで積層します。
A:試験片+画像退行ディテクター
B:基準濾紙+画像退行ディテクター
C:試験片+汚染ディテクター
D:基準濾紙+汚染ディテクター

 

試験方法

これらの積層をそれぞれ、温度70℃(±1℃)、相対湿度86%(±3%)で15日間高温・高湿の条件下に置き、包材が写真資料に及ぼす影響を強制的に再現します。
また、試験片の代わりに基準濾紙を用いた積層を作ることで、コントロール(合否判定の基準)としています。
強制劣化処理後は、各ディテクターの4箇所ずつ、計8箇所(4箇所×2枚)について濃度の変化を測定します。
画像退行ディテクターは透過濃度を、汚染ディテクターは反射濃度を、それぞれ濃度計で測定します。

 

PAT認証試験 3

測定

 

強制劣化試験後、各ディテクターの4か所ずつ計8か所(4か所×2枚)の濃度変化を測定します。
画像退行ディテクター:透過濃度を測定
汚染ディテクター:反射濃度を測定
この結果により、試験片が写真や印画紙に与えた影響を評価します。

PAT認証試験 4

計算と必要条件

 

4-1. 画像退行試験
試験片(A)の画像退行ディテクターで測定した8か所の透過濃度変化の平均値を求めます(①)。 基準濾紙(B)でも同様に平均値を出します(②)。 試験片側の濃度変化が、基準濾紙側の±20%以内であることが合格の条件です。 画像影響度(%)= ①−② / ② × 100

 

4-2. 汚染試験
試験片(C)の汚染ディテクターで測定した8か所の反射濃度変化の平均値を求めます(④)。 基準濾紙(D)の平均値(⑤)も同様に算出します。 試験片側の濃度変化(④)が、基準濾紙側(⑤)に0.08を加えた値以下であることが合格条件です。

 

4-3. 斑紋の確認
画像退行ディテクターに、ライトテーブルや均一な光源を用いて斑紋(しみ・変色など)が現れていないかを確認します。 腕の長さ(約50cm)離して目視で評価し、容易に認められる汚染や模様がないことが合格の条件です。 斑紋の例としては、明暗のむら、ランダムな点、繊維の変色、ゼラチン上のピンホール、アルバムの接着剤のライン等があります。 合否の最終判断は、試験官による目視評価に委ねられます。

弊社試験材料一例